夢の断片にて
五つの夢の断片に現れた三人の少女たち.振り返るたびに私に重なる,その姿.
一.一人目はおとなしそうなおかっぱ頭.灰色の街角で,名前を呼ばれるのを待っている.
二.二人目はとろんとした目のショートカット.あてもなく街を出て,木にもたれて雨滴を啜る.
三.再びショートカット.逃れの果ての行き止まり,もう登れない山道,月を見上げて座り込む.
四.三人目はワンピースのロングヘア.はじめの街,どこへも行けずに立ち尽くす.
五.再びおかっぱ頭.朝の駅,誰かに手を引かれ,トランク片手に街行きの始発をめざす.
夢から覚めて,彼女たちはどこかにたどり着けたのだろうかとふと思う.
夢か現か幻か,私もいずれどこかへたどり着くのだろうか.