これも経済学だ!

 久しぶりに読書をした.タイトルは『これも経済学だ!』(中島隆信著,ちくま新書).先生からお借りしたものだが,手元に置いておきたい1冊だ.
 本書は「経済学とは何か?」という問いに対して「個々の人間の欲望には際限がないが,限られた資源は有効に利用しなければならないので,品物の需給は市場での価格によって調整される.ここに市場参加者の利潤は最大化される.」という資源配分の考え方を述べるなど「多くの人々が幸せになれる世の中を作る『道具としての経済学』」を主張し,経済学のマイナスイメージ(「欲得ずくのカネ勘定」など)に反論している.ミクロ経済学の復習にはもってこいだと思う.
 ところで,本書のポイントであるが,「・・・外部者にとって不思議に思える行動であっても,当人にとってみれば背後にそれなりの合理性が存在しているはずだ.」本文の最後(および表紙)からの引用だが,このような「はず」であるという設定というか「仮説」を実生活に活用することは世渡りにはとても重要だ.さらに,もしも目の前の現実から仮説を見つける(というよりも「見いだす,思いつく」のほうがふさわしいか)ことができれば,すばらしい.
 以下,感想を書いておく.
 経済学を始め,全ては「仮説」の上に築かれた虚構だとも言える.土台となる仮説は好きにして良い部分であり,それは究極の自由であるが,それは大変困難であるため,人々は不自由を手に入れる.私が好きな考え方と同じような記述が本書にもあり,整理できたことも有益だった.
 あと,伝統文化,宗教,弱者について分析しているが,特に前2者には興味を持っていたので,経済学的視点を得ることができてとても有意義だった.このような視点を自分で作ることができれば半人前くらいにはなれるのだろうけれど・・・直感が鋭くない,経験が浅い自分にはとても難しいが,努力したい.