帰る場所はない,今のところは

 寝る前にいろいろと考え事をしていたら,唐突に墓地の風景を思い出した.山陰の晴れ渡った海に臨む丘の上の墓地,木曽の墓地の雪景色,夏の奥信濃のお寺,そして祖父母の住む集落の墓地が特に印象的だった.妙に落ち着くのだ.
 祖父母は長野県北部に住んでいて,その集落は千曲川河岸段丘上にあり,眺めが大変良い.集落の外れに小さな墓地があるのだが,ここは帰る場所ではないのだとしみじみと思う.帰る場所はつくらなければならない.実に,大変なことだ.