巨いなる企て

 「巨いなる企て」(堺屋太一著,文春文庫)を読んでいる.まだ上巻の半分も読んでいないが非常に興味深い内容なので後日に感想を書こうと思う.ここでは,この小説とはあまり関係ないが,「覇王の家」(司馬遼太郎著,新潮文庫)などを参考に考えたことをメモしておく.君主は組織を代表する機関であり,その意味で自然人ではない.だから,大名などは「〜公」と呼ばれる.現代の会社が持つとされる法人格と呼ばれるものが生身で存在しているようなものだろう.「人の主人ほど不自由なものはない」とは家康公の言葉だが,公で生きるためには,ときに自然人である己を殺すこともいとわぬ自己に対する非情さを持たねばならないことは誰にでもいえることなのだろう.