『新約聖書』の「たとえ」を解く

 買ったきり読まなかったり,もう一度読み直したい本はたくさんあるが,今日は『『新約聖書』の「たとえ」を解く』(加藤隆著,ちくま新書)を読み始める.そもそもこの本を購入したのは,聖書の中でも福音書が自分にとって有用だと思ったからなのだが,本を開いてみるとそれ以上に読み甲斐がありそうだ.というのは,宗教でも何でもなぜ「たとえ話」が多用されるのかということを疑問に思っていたからだ.もちろんそのほうが理解が容易なこともあるが,それ以上に言いたいことを直接言ったほうがよりわかりやすいのではないか?本書はこんな問いに一つの回答を与えている.まだ2章までしか読んでいないが,この段階で直喩と暗喩の効用を解説し,さらに,「パラボレー」なたとえ話である共観福音書が有する破壊性と創造性について明らかにしようとしている.「たとえ話」の持つこのような効用を知っておくことは非常に有用だと思われるし,興味深い.この先が楽しみだ.