信仰について

 改めて,信仰について私なりに考えてみることにします.人間は有限な存在であり,必ず「始まり」と「終わり」があります.しかし,「『始まり』の前」,「『終わり』の後」のことは知るはずもなく,これは好きなように決めてこれを信じるほかはありません.これらの区分に基づいて,話を進めます.

始まり

 単に生誕や前世などの言葉で表される問題ではなく,「根源的な始まり」.それは,因果関係を遡るといつか行き着くどうしようもない始まりであり,絶対的な「虚空」にある.相対するものが存在しない最果てだから,絶対であり,根源.私はそこが「神の生まれた場所」なのだと思います.
 あるいは,人間は自身を構築するさまざまな要素を束ねる「芯」として,固有の「信条」を持っていますが,それは彼にとってそれ以上遡れない「始まり」そのものであり,すなわちそれは絶対的な「虚空」にあるのだと思います.

終わり

 単に死や来世などの言葉で表される問題ではなく,永久の先にある最終章を名乗る「虚空」に我々が打ち立てるべきもの,価値,意味.「人はなんで生きるか」という問いの答え,魂の行き先.それを与えるのが「救済」なのだと思います.

「始まり」と「終わり」の間〜過程

「始まり」と「終わり」との間に存在する流れの中で我々は生きていますが,これが物事の生起を支配する因果関係です.これを飼い慣らすためにどうするべきかという体系が宗教の「教義」だと思います.


 以上から,虚空を埋め合わせようとする行為,あるいはかたちないものにかたちをあたえようとして,他人の信仰を拝借するのが「宗教」なのだと思います.今の私は,「虚空」を克服するべき存在ではなく「空」と名付けることで,「自由の根拠」に昇華しようとする信仰を持っています.これはいい加減で不確定なものなので更なる考察が必要で,今後どのようにかたちを変えていくかはわかりませんが,今の私にとっては「真実」です.