ある日のユメ

 概念を,すなわち自分を殺す,そんなイメージ.言葉にしにくい,画像の連続.それは,確かに私をねじ伏せ,納得させた.私が私でない,そんな感覚.これまでにない,その感覚.
 それはまた,世界を殺す感覚.私は世界の中心にいた,いや,まさに世界の中心だった.世界の中心で,世界を繋ぎ止める,結び目だった.それを破壊,いや,ナイフで殺したのだ.その瞬間,世界はオレンジ色で満たされた.それは,解放と幸福のイメージ.それはあり得ない,「絶対的」な客観性.
 忘れてしまう,朝になれば終わるのだ.思考にノイズが混じりだした.日常の浸食・・・私はあの場所からどうしようもなく遠ざかる.所詮は夢なのか.しかし,そこで私は自身を私と呼んだ.夢というより,経験だった.
 記憶のサルベージを試みる.間もなく,どうしようもない深さにまで沈んでしまうあの私から.思いつく限りは掬い上げ,書き留めた.でも,まだ何か,大事なことが残っているようだ.もどかしい気持ち,それが私をいまだに世界の中心たらしめる,未練という感情か.私は帰ってきてしまったことを思い知らされた.